『やんばるの少年』

今日6月23日は沖縄戦の戦没者を追悼する「沖縄慰霊の日」
私も数年前に糸満市摩文仁の平和記念公園にある「平和の礎」で 祈ってきました。
かつての激戦地で身が引き締まる思いです。
友だちのお父さんも戦死しています。
彼女がお母さんのお腹にいる時です。
お父さんはどんなにか 赤ちゃんに会いたかったことでしょうか。
オスプレイ事故や辺野古埋め立て等戦後75年というのに 平和がずっと脅かされています。
そのために豊かな自然も破壊されています。

『やんばるの少年』(たじまゆきひこ/童心社)
沖縄の北部に広がるやんばるの森。
この森にしかいない珍しい鳥や虫などたくさんの生きものが 住んでいます。
木に登ったり川で魚やうなぎを捕ったり ぼくと弟、そして幼なじみのハルコ三人の遊び場。
ある日、この森の木が切り倒されていきます。
アメリカ軍のオスプレイの基地がつくられるというのです。
ハルコが学校を休んで毎日「わたしたちの森を こわさないでください」と
ステッカーを持ってダンプカーや機動隊の車が行き来する道端で立っていました。
オスプレイが村はずれの海岸に墜落しました。
その後も凄まじい音をたて屋根すれすれに飛び続けています。
ハルコたち家族が引っ越すことに・・・
亜熱帯の森の樹々、命が息づいている空気が迫力ある画で迫ってきます。
その豊かな森が壊されていく恐怖、不条理が子どもの視点から描かれています。
作者のことばに『「ぼく」やげんた、ハルコのすがたをとおして、自然とともにある時間のゆたかさを感じてほしい。ちょっとやさしい気持ちになってほしい、沖縄のことを知るきっかけになってほしい。そう願って、この絵本をつくりました。』とあります。
少しでもその気持ちに近づけたらと思います。
できたらお子さんと一緒に読んでいただきたいです。

投稿者プロフィール

絵本専門店グリム
絵本専門店グリム
ロングセラーの絵本、昔話絵本、赤ちゃん絵本などを取り揃えています。蔵書数はおよそ3500冊。長年、絵本専門店を営んできた店主が思い入れのある本をセレクトしています。

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