『すずばあちゃんのおくりもの』
戦後78年!
『すずばあちゃんのおくりもの』
(最上一平・文/黒井 健・絵/新日本出版社)

夜空にポッポッと咲いている月見草。
表紙が美しい。
表紙をめくってみると・・・
純平の家の近くに一人で暮しているすずばあちゃんが住んでいる。
すずばあちゃんは村のあちこちにたねをまく。
雪が消えると福寿草、蕗の薹、チューリップと。
みんなすずばあちゃんがまいた。
ある日のことすずばあちゃんに「いちばんすきな花はなあに?」と聞くと、「のぎくだなぁ」と満州での戦争中のことを話してくれた。
戦争で旦那さんも、赤ん坊までも病気で亡くなった。
「くしで固い土くれを掘って野原に埋葬し、近くに咲いていたのぎくを供えた。その種を子どもだと思って持ち帰ってきた」と。
純平は花をみるとすずばあちゃんの顔を思い浮かべるのでした。
辛い思いを抱いて生きてきたすずばあちゃん。
花の種を蒔くのは鎮魂の思いからでしょうか。
何よりも平和への祈りが花を咲かせたのでしょう
。黒井健さんの絵がやさしく美しいので返って胸に迫ってきます。
投稿者プロフィール

- ロングセラーの絵本、昔話絵本、赤ちゃん絵本などを取り揃えています。蔵書数はおよそ3500冊。長年、絵本専門店を営んできた店主が思い入れのある本をセレクトしています。
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