戦後75年。親子で読み合いたい絵本二冊

東京大空襲の後、家族を捜しに東京へいったキヨシ
東京大空襲にあい、奇跡的に生き抜いた半藤少年
二人が今一番願っていることは?!

『焼けあとのおにぎり』
(作/うるしばらともよし 絵/よしだるみ/国土社)

キヨシは、五年生の夏福島のおばあちゃんの家に疎開をた。
キヨシの住んでいた東京の下町は東京大空襲で焼け野原になった。
玉音放送で戦争が終わったことを知る。
キヨシは便りがない家族を捜しに一人で東京へ向かう。
おばあちゃんは大切な着物などを売って、お米と取りかえておにぎりを五つ持たせてくれた。
上野駅から焼け野原を我が家に向かって歩きやっとの思いでさがしあてた家はガレキの山だった。
そこに残っていたのは・・・
おばあちゃんが持たせてくれた大切なおにぎりが・・・
切ない思いと怒りがこみ上げてくる。
もう二度と戦争をしてはいけない。
させてはいけないと痛切に思う。

『焼けあとのちかい』
(文・半藤一利/絵・塚本やすし/大月書店)

作者の半藤一利さんの奇跡的に生き抜いた戦争体験。
東京の下町向島で生まれ、中学2年生のときに東京大空襲にあい、猛火と黒煙の中を逃げのびる。
中川でおぼれそうになる。
そこで見たものは累々と浮かぶ亡くなった人たち。
戦争が始まる前は、みんなで馬とび、石けり、メンコ、とベエゴマと遊んでいた。
小学5年生の12月に戦争が始まり、男の人たちが兵隊に、人々から笑顔が消え、食べるものがなくなっていく。
「絶対に神風が吹く、絶対に日本は負けない」といわれ思い込んできたから“絶対”という言葉は二度と使わないと生きてきたけれど、敢えて絶対という言葉を使って「戦争だけは 絶対に はじめてはいけない」と半藤さんは誓った。
そのメッセージが心に沁みる。
焼きつくされた街の写真、凄まじい大空襲が力強いタッチで描かれ、迫ってくる。

投稿者プロフィール

絵本専門店グリム
絵本専門店グリム
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