『中国の昔話 九色のしか』

☆懐かしさと親しみのある台湾絵本☆
『中国の昔話 九色のしか』 (リン・シュウスイ文/リャオ・ジャンホン絵/宝迫典子訳/ 廣済堂あかつき)

森に薬草とりに出かけた男、噂に聞いていた九色の鹿の神々しい 美しさに見とれ、川に落ちてしまった。
溺れるところを鹿に助けられ、九色の鹿のことを口外しないようにいわれる。
このことを約束した にもかかわらず毛皮を欲しがっている王妃、国王からの褒美に目がくらみ、兵隊たちを森へ案内してしまう。
さぁてどうなることか・・・ 
インドからシルクロードを伝って敦煌の壁画にも描かれた物語は 日本では宇治拾遺物語や今昔物語『五色のしか』として伝わっています。
美しい影絵舞台を見ているようです。
独特な文化が はしばしに感じます。
台湾の絵本作家によるもので、2年以上の時間がかけられています。
あとがきに「彩色段階で黒い影絵のような独自のタッチを保ちながら 色彩をとけこませ、最後に古代シルクを模した背景色に心にうかんだ 九色の鹿を描きました」とあります。
何度も推敲する中で生み出された芸術作品のように思います。
コントラストがはっきりしていて、絵が浮き出て見えるので 触りたくなります。
どうぞ“影絵舞台”をお楽しみください。

※蛇足ながら《台湾》というと、心がしくしくします。
懐かしさと親しみがあります。
私が余りにも幼かったので 覚えていませんが、私の生まれ故郷です。
母が亡くなった時に位牌を持って訪ねたことがあります。
私が住んでいた所は工業団地になっていて、当時の雰囲気は 跡形もなくなっていたとかです。
戦争中、家もあたり一帯も爆弾で焼けてしまったということですが、私には夕焼けのきれいな街並みが浮かんできます。
このことはいつかちゃんと書き留めておきたいと思っています。

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絵本専門店グリム
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