『なきむしせいとく』―沖縄戦にまきこまれた少年の物語
沖縄の戦跡を訪ねたことがあります。
友だちのお父さんが彼女がお腹にいる時沖縄で戦死しました。
平和の礎にお名前が刻まれています。
ガマへいって、手を合わせましたらグワン~と声が聞こえたような気がしました。
当時の気配を感じて胸が苦しくなりました。
沖縄復帰50年今、読みたいこの一冊 !
沖縄に40年以上通い続けその集大成として田島征彦が描いた渾身の作!
『なきむしせいとく』―沖縄戦にまきこまれた少年の物語 (たじまゆきひこ/童心社)
1945年の沖縄。ぼくの名前はなかませいとく。
いつも泣いているので、みんなからは「なちぶー」とよばれている。
父も中学生の兄も軍隊に、ぼくは母と妹の3人で南へ逃げることになった。
けれども空から海からも爆弾が飛んできて、みんなバタバタ倒れ、凄まじい状況に。
逃げ込んだガマで恐ろしいことが。
あろうことか・・・
表紙の鮮やかな花は月桃でしょうか。
バックの黒色に映えて心に重く語りかけてきます。
カラフルな花いっぱいの島が戦争で飲み込まれていくのですね。
ページを繰るごとに身に迫ってきます。
作者は5歳の頃、大阪の堺市でアメリカの戦闘機に機銃掃射され、逃げ惑ったご自身を主人公に投影されたそうです。
それでなんですね。
せいとくがとても身近に感じます。
ガマを訪れた時に手を合わせてお祈りしました。
背中に寒気が走りました。
しっかり受け止めたつもりですが、ともすると日常に流されてしまいます。
この絵本を多くの方に届けたいと思いました。
田島征彦さん、ありがとうございます。
この他に(『とんとんみーときじむなー』[1987年]『てっぽうをもったキジムナー』[1996年]『やんばるの少年』[2019年、いずれも童心社・刊])等があります。
5月13日(金)東京新聞夕刊一面にインタビュー記事が大きく掲載されました。
投稿者プロフィール
- ロングセラーの絵本、昔話絵本、赤ちゃん絵本などを取り揃えています。蔵書数はおよそ3500冊。長年、絵本専門店を営んできた店主が思い入れのある本をセレクトしています。
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