『どんぐり』
公園や林に行くとどんぐりが転がっていますね。
『どんぐり』(たてのひろし/小峰書店)
ページをめくると、樹々が風に揺れている。
梢からパラパラとどんぐりが降ってくる。
「うわ、すごい」と思いながら更にめくると、つやつやしたどんぐりたちが枯れ葉の積もった地面に落ちている。
そのどんぐりをリスがかじったり、鳥がついばんだり穴のあいたどんぐりからは虫がはい出てくる。
どんぐりの新芽も虫や動物たちに食べられ命の糧となる。
季節を通して、植物や生きものたちの営みが描かれている。
精緻に描かれた絵は、風で触れ合う梢や土の匂いが感触までが伝わってくる。
ことばはないが、森の中での巡る命のドラマを見ているようだ。
全体がモノクロで実や鳥などが鮮やかな色で描かれ、そして青い空。
思わず声が出てしまった。
森に風が吹き、音も聞こえてくる。
命の気配も感じる五感が研ぎすまされてくる。
この秋にぜひ読みたい。
投稿者プロフィール
- ロングセラーの絵本、昔話絵本、赤ちゃん絵本などを取り揃えています。蔵書数はおよそ3500冊。長年、絵本専門店を営んできた店主が思い入れのある本をセレクトしています。
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