『どんぐり』
公園や林に行くとどんぐりが転がっていますね。
『どんぐり』(たてのひろし/小峰書店)
![](https://grimm-ehon.com/wp-content/uploads/2023/10/どんぐり-927x1024.jpg)
ページをめくると、樹々が風に揺れている。
梢からパラパラとどんぐりが降ってくる。
「うわ、すごい」と思いながら更にめくると、つやつやしたどんぐりたちが枯れ葉の積もった地面に落ちている。
そのどんぐりをリスがかじったり、鳥がついばんだり穴のあいたどんぐりからは虫がはい出てくる。
どんぐりの新芽も虫や動物たちに食べられ命の糧となる。
季節を通して、植物や生きものたちの営みが描かれている。
精緻に描かれた絵は、風で触れ合う梢や土の匂いが感触までが伝わってくる。
ことばはないが、森の中での巡る命のドラマを見ているようだ。
全体がモノクロで実や鳥などが鮮やかな色で描かれ、そして青い空。
思わず声が出てしまった。
森に風が吹き、音も聞こえてくる。
命の気配も感じる五感が研ぎすまされてくる。
この秋にぜひ読みたい。
投稿者プロフィール
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