『かせいじんのおねがい』  (いとうひろし/童心社)

☆クリスマスイヴ前後に火星がくっきり見えるようですね。 
 思わず空をみあげたくなります。

『かせいじんのおねがい』 
(いとうひろし/童心社)

ぼくはともだちの家から帰る途中、ちょっとくたびれたおじさんに声をかけられた。
火星人だという。
地球に修行にきていたのだが、それも終わったので「かせいにかえしてもらいたい」と頼まれる。
何のことかきいてみると、よりよい火星人になるために色んな修業をするが、中でも地球へ来ることが最高の修行だという。
火星人は嘘をつかない。
争いごともしない。
みんなで仲良く支え合っている。
果たして嘘と争いごとが蔓延している地球で火星人たる所以を守って生きて行かれるかどうかが最高の修行になるらしい。
ぼくは一生懸命に願うのだが・・・

一見、奇想天外な話のように思うが、あるべき姿を見せてくれている。
火星という国を通して子どもたちへの思いが感じられる。
地球という国で暮しているうちにいつの間にか私たち大人は垢まみれになってしまっているのかもしれない。
火星人が最高の修行の場として選ぶような地球であってはならない。
そんなことをもまともに考えさせられた。
絵がほのぼのとしていて穏やかな風が吹いているようだ。
ああ、そんな地球であってほしい。
親子で読み合いたい。
どんな話ができるか楽しみだ。

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絵本専門店グリム
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