一周年記念講演会《石川えりこさんのトークイベント》を開催しました
この時期、人数が少なくてもいいからえりこさんのお話を 膝を交えるようにお聴きしようと思っていました。
ところが同じ思いをする方々が来られたのでしょうか、会場はいっぱいになっていました。
えりこさんの子どものころから始まって今どういう姿勢で作品を作られているかと話してくださいました。
おじいさまは絵描きさんで小さいころから描くのは好きだったのですね。
『ぼた山であそんだころ』では時代が持った重さ、 石炭とぼたの描き分け、そしてあの川の色の配色など 話してくださり、絡んでいた糸がほどけたように目の前に 景色が広がりました。
筑豊弁の『しんやくんのマラカス』は柔らかな響きで、二人の会話が きこえてきました。
カシャカシャ シャカシャカと音も。
『おれ、よびだしになる』はえりこさんとご一緒に来られた 山本潤子さんが読んでくださり、少年の心の成長が伝わってきました。
よびだしの声がりんと響き、良かったですね。
心の成長とともに色の変化やカバーのこと等ベースにあるものが 深いです。
“今、読売新聞「ばあさんは15歳」(阿川佐和子)の連載の絵を担当しているけれど、毎日描くことなので画力がないと続けていけない。
毎日のチエックに耐えうるように修業の場ですね。楽しいけれど鍛えられる。画力が落ちないように努めている。“
と話されていましたが、それは石川えりこさんの立つ位置であり、生き方そのものだと思いました。広告などのデザイン時代に培われたことも大きいのでしょう。
最後に『かんけり』を読んでくださったが、映像を観ている かのようにみな固唾をのんでいました。
“一瞬の子どもの心の切りかえを描きたかった”と言われて いましたが、大人もそうですね。
この絵本はまさに 生きることへの応援歌です。
爽やかな春風がふき、暖かな日差しにいるようなほっこりと 豊かな時間でした。
石川えりこさん、参加された皆さま ありがとうございました。
石川えりこ語録
〇作品は作家と絵描きの波長、セッションである。
〇物語の流れを邪魔するので表紙にあえて名前などいらない。
〇自分のだした色を大事にする。
〇編集者に向かって描くのではなく、子どもに届けたい。
〇正義を求めない。
〇「雑草はふまれるとな、いっぺんは起き上るけど、 もういっぺんふまれたら、しばらくはじいっと様子みをして、 ここはどうもだめじゃと思うたら、それからじわあっと 根をのばして、べつの場所に生えかわるんじゃ」 『あららのはたけ』より
投稿者プロフィール
- ロングセラーの絵本、昔話絵本、赤ちゃん絵本などを取り揃えています。蔵書数はおよそ3500冊。長年、絵本専門店を営んできた店主が思い入れのある本をセレクトしています。
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