『花と木沓(サボ)』
北国はそろそろ冬支度でしょうか。
北国からの風のたよりが届きました。
画家・小野千世の幻の絵日記を書籍化!
『花と木沓(サボ)』(絵と文 おのちよ/幻冬舎)
おのちよさんは1945年3月のときに空襲で能舞台の家が消失し、家族と共に北海道に疎開します。
空襲時に、ちよさんが家の中にいると思って燃えさかる家に飛び込んだお兄さんが亡くなります。
ちよさんはその時からずっと心に重荷を抱え込んで生きていきます。
16歳の時に体調を崩し、学校へ行けなくなり、修道院での療養生活が始まります。
この『花と木沓』は2月~12月までの日々を綴り描いています。
療養生活は規則もあり単調だったにちがいありません。
でもそんな暮らしの中でも四季の移ろい、ささやかな喜びがありました。
そんな日々を綴り描いていますが、みずみずしく、ユーモアにあふれています。
ひたむきな純粋さが心に真っすぐ届き、静かに語りかけてくれます。
切ないけれど、心あたたまる絵日記です。
「もう生きているのが、いやになっちゃった。なんていう子も、きっといるよね。でもさ、昔の子の ちよちゃんも しんどかったよ」
「どんなにのろくても、春は必ずやってくる」と語りかけています。
この本の出版の立役者は絵本を愛する製版人、近島哲男さんです。
絵は原画から起こしています。
装丁、デザイン、多くの方が加わって美し本に仕上がりました。
本の形が変形なのはカバーの裏の絵を切りたくなかったからです。(2011・3・11 Ciyo Onoと記されています)
背表紙も花柄も素敵です。
ぜひ手にとってお読みいただきたいです。
投稿者プロフィール
- ロングセラーの絵本、昔話絵本、赤ちゃん絵本などを取り揃えています。蔵書数はおよそ3500冊。長年、絵本専門店を営んできた店主が思い入れのある本をセレクトしています。
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