『ユキエとくま』

《6月8日は 知里幸恵の誕生日》生誕120年記念出版!

『アイヌの神謡集』を編んだ知里幸恵の生涯を描いた絵本が出版されました。
『ユキエとくま』
(文:アリーチェ・ケッレル 絵:はせがわまき 訳:関口英子/工学図書[山烋])

ユキエが6歳の頃弟が生まれて、コタンの叔母に引き取られ祖母と一緒に暮らすようになる。
文字を持たない祖母は“カムイユカラ”の謡い手であった。
アイヌの人たちは自然のすべてに命が宿ると考え、物語りとして謡い語り継いできた。
そんな祖母と暮らす中で、ユキエは「カムイユカラ」を感じ体得するようになる。
小学校では”アイヌ”として差別され文化の違いで戸惑うことが多いものの日本語を習得する。
東京から訪ねてきた言語学者 金田一京助との出会いがキッカケでやがて『アイヌの神謡集』を編むようになる。

その方法は祖母の謡いをローマ字で記録し日本語に訳したものだった。
翻訳・編集・推敲と気の遠くなるような作業が続いた。
ユキエは重い心臓病を患っていて「アイヌ神謡集」を完成させたその日の夜、1922年(大正11年)9月18日に亡くなっている。

読み終えて心が熱くなりました。
幸恵さんは『アイヌ神謡集』を完成させるために生まれ、生かされてきたのですね。
120年前、カムイユカラに一生を貫いた女性に感銘します。
どんなにか完成した『アイヌ神謡集』をみたかったことでしょうか。
やさしい語りことばにアイヌ文化を彷彿とさせる絵は時代の景色をも見えてきます。
知里幸恵さんが身近に感じ、愛しくなります。
今を生きている子どもたちにも読んでもらいたいと思いました。

個人的には随分前になりますが、まだ「銀のしずく記念館」ができる前に阿寒湖のアイヌコタン集落を訪ねたことがあります。
たまたまフチ(おばあさん)とお話ができました。
その場でベストの刺繡が縫いあがったので鉢巻と一緒に譲ってもらいました。
それを着ると元気がでてきます。
魂が込められているからでしょうか。
魔よけの意味もあるそうです。
『アイヌ神謡集』は様々な国において言語化され、イタリアの日本文化研究家・作家ロッサーナ・カルネさんのイタリア語訳で読まれているとのことです。
この絵本の作家、画家もイタリア在住です。
巻末には知里幸恵さんこと等が詳細に記されています。

投稿者プロフィール

絵本専門店グリム
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ロングセラーの絵本、昔話絵本、赤ちゃん絵本などを取り揃えています。蔵書数はおよそ3500冊。長年、絵本専門店を営んできた店主が思い入れのある本をセレクトしています。

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