こくん(村中李衣 作 石川えりこ 絵/童心社)

こくん

夏休みも終わり、子どもたちは幼稚園や保育園に元気に
行きはじめたかしら。
この絵本は、主人公のちさとが病院を退院してつばさえんに
戻ってきたところから始まります。

『こくん』(作・村中李衣/石川えりこ/童心社)
病院で練習してきたけれど、歩行器を使って、
思うようにあるくのは難しい。
しゅんくんが“てつだってやる”と手をのばしてきたのに
自分で歩きたいので“いらない”といってしまった。
 
ピアノの発表会、ステージの上まで階段が3段もある。
ちさとは息を吸って、“こくん”と、ひじをついて登った。
しゅんくんが心配そうに見ているみんなに
「こいつは じぶんで やるんだ。あたまを こくんって 
したら、かならず じぶんで やるんだぞ!」といってくれた。

そんなしゅんくんがある日、竹馬に乗って、びわをとっている。
あんな高いところのびわを。しゅんくんはすごい!
わたしもあこがれていたすべりだいに登りたい。
てっぺんから何が見えるかな!?
ちさとは歩行器から手をはなして、すべりだいの階段を
ガッツンゴッツン登り始めた・・・

新しいことへの挑戦は、まごついたりどきどきしたりしますが、
まさにガッツンゴッツン、あっちにぶつかりこっちにぶつかりです。
そんなちさととしゅんくんの心の成長が爽やかに描かれています。
初めての一歩はきっと次の新しい一歩につながるでしょう。

鉛筆の濃淡をトーンとして心の微妙な動きや表情が繊細に描かれています。アップに描いている場面はすごい迫力で引き込まれてしまいます。
ちょっと苦境にいるお友だちにもお薦めです。

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