「絵本の世界を読み解くおはなし会」を開催しました。

6月1日、「絵本の世界を読み解くおはなし会」を開催しました。

『こぐまちゃん』シリーズ誕生エピソードから始まりました。
1963年ブルーナーの『ちいさなうさこちゃん』がキッカケで「日本の子どもが出会う絵本を作ろう」と、創業者の佐藤秀和さん、森比左志さん、和田義臣さん、若山憲さんと合同でスタート。
当初は若山憲さんの子どもがモデルで実際に保育園にいって遊んだりもした。
こぐまちゃん専用インク6色のことや何年たっても古さを感じさせない工夫などの裏話には感嘆。
時代とともにまた子どもの指摘などで変わった箇所もある。

にしまきかやこさんのデビュー作『ボタンのくに』。
『わたしのワンピース』は圧倒的に子どもの支持を得ていた。
当初は大人の理解が得られなくて大変だったが今はミリオンセラー(現在200万部)。
子どものアトリエを開いていた西巻さんは「大人は子どもの絵を絶対真似できない」と揺るぎない思いがある。
そういう中で生み出された『わたしのワンピース』が今日も「ラララン ロロロン」と子どもたちの心へ。
ファンタジー絵本の草分けといえる。

馬場のぼるさんについては、青森県で生まれて、子どものころ『のらくろ』『冒険ダンキ吉』などを真似して描いていたという。
各界で活躍している漫画家、絵本作家との出会いやエピソードがすごい。
様々な賞を受賞するが、一番嬉しかったのは絵巻絵本『11ぴきのねことマラソン大会』がイタリアの子どもたちが選ぶイタリア・ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞したこと。
あのほのぼのと温かい画風の馬場のぼるさんらしいですね。
『かえるがみえる』『ぶたたぬきつねねこ』等、絵をよませるのが上手で、エルバ賞を受賞した絵巻絵本はそのもの。
『あかべこのおはなし』は2011・3・11の後福島県への応援で復刊要望多く出版されたが、現在は品切れ中なので復刊してほしいとこぐま社にもいっている。
実際に作者が磐梯山へ登って描いている稀有な絵本。


美しく貴重な『きつねやまのよめいり』や絵巻絵本全8冊の紹介。
アメリカ絵本の黄金期のこと。
ワンダーガアグの『100まんびきのねこ』バージニア・リー・バートンの『いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう』マリー・ホール・エッツの『もりのなか』ウイリアム・ニコルソンの『かしこいビル』は読み解きながらの読み語り。
当時の絵本作家たちがいかに心血を注いで描いたか改めて感じるものがある。
最後は『もりのなか』で哲学の森へ。
絵本のなかの「もり」と表紙の「もり」は違う。
エッツは表紙のために別に絵を描いている。
なぜか!?

私たちは宿題をもらったようで「またもりへ」と再び吉井康文さんにお出でいただきたいと思ったのでした。
短い時間の中を、絵本裏話やエピソードを交えながらびっちりとお話ししていただきましたが、興味が尽きなく皆さん椅子に座り続けていたのが印象的でした。吉
井康文さん、充実した時間をありがとうございました。
またの機会を!

皆さま、ありがとうございました。
こども店長の看板でお出迎え
今回も楽しく描きました

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絵本専門店グリム
絵本専門店グリム
ロングセラーの絵本、昔話絵本、赤ちゃん絵本などを取り揃えています。蔵書数はおよそ3500冊。長年、絵本専門店を営んできた店主が思い入れのある本をセレクトしています。

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